みすぼらしいぶろぐ

つれづれなるままに、物狂おしい戯言を書きつくるみすぼらしいブログ。 果たして何が出てくるのか、本人すらも理解していません。

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みすぼらしい男

Author:みすぼらしい男
名前の由来はとあるRPGの敵キャラクター。
とりあえずで使ったのが定着し現在に至る。
意味としては、「識別しなくても正体が大したことないやつ」。
実際その通りなのでちと寂しい気も。
自称、ツンデレ萌え。ただし、極度の原理主義のためにその適用範囲は狭い。

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CLANNAD 最終回 「影二つ」

  • 2008*03*22*Sat
  • 14:57
  • 京アニCLANNAD
  • edit
ふー、いい最終回だった。気持ちよく終わった気がしますよね。
でも、あんまりそのまんまな終わり方だった気もするので、原作体験組みとしては初見では鳥肌を立ててみていたものの、繰り返し見ていくうちに「うまいことまとめたなあ」という印象に落ち着いたかも。

そこで少し気になったのが、原作体験組みと初見のファンの温度差です。物語としての盛り上がりは確かにあるものの、原作ファンが騒いでいる割にはこれって普通のエンディングだよね?と思った人もいるのでは。
また、物語が終わりを迎える前から「アフター」なるものについての言及が増え、その意味に不可解さを感じた人もいるのではないかと思いました。もちろん、これは大きなネタバレについて言及しているものなので、あまり声高に述べられるものではないのかもしれませんが。

というわけで、一応今回で最終回となりましたので、アニメ本編で語られた謎、語られなかった謎を中心に記述していきたいと思います。
*

まずは、ネタバレをしつつ原作との相違点を挙げておきます。

前回も述べたように、演劇部の発表に藤林姉妹・ことみが加わるのはアレンジです。また、有紀寧もここでは登場しません。途中で朋也が学園祭で早苗さんに会うシーンがありましたが、原作では早苗さんを連れて学園祭(原作では創立者祭ですが)会場を回ることになります。余談ですが、今まで話題に少しずつのぼっていた磯貝さんが登場したのには笑いました。原作でも、いつもパンをおすそ分けされていると説明されるシーンがあったのを覚えています。

また、渚が直前に秋生の演劇のビデオを見るというシーンもオリジナル。高校生の頃の夢にきらきらした秋生は、いかにも「らしい」言動をしていました。普通の状態で親のそういう姿を見たら、「若いなぁ」と笑って済ませられるのでしょうが、渚の場合はタイミングが特殊であったわけです。とはいえ、目の前で屈託なく笑う人の描写を見せることで悲しみを誘うというのは面白い演出だと思いました。資料室に古い演劇のビデオがある、とは第3回ですでに伏線が張られていますから、いつか見るシーンが入るだろうとは思っていましたが、最悪のタイミングですよね。

渚の演劇を見に来てる観客の中に、今までの登場人物が描かれていたのも話を統合したアニメならでは。確認できる限りですが、公子・祐介、美佐枝・芽衣、幸村先生、風子の親衛隊、不良らしき3人組(ひょっとしてゆきねぇがらみ?)、三井さんに磯貝さん、ことみの後見人の紳士まで来ています。こうやっていままで築いてきた人脈がそれとなくつながっているさまを見せられるというのは、とても最終回っぽい。

なにげに、演劇のシーンもオリジナルだったように思います。原作ですと、前回の予行演習のシーンのように劇が開始される時点で省略されているのですが、実際に渚が演じている様子が描かれていたのはうれしいポイント。また、秋生と朋也の檄を受け、深呼吸して落ち着きを取り戻していく感じは、とても綺麗に表現されていたように思います。

渚の劇の後に朋也と父が顔を合わせるのも面白い改編だと思いました。確かに、学園編でこのアニメが最終回だということになると、父親との確執が解決されないままということになりますよね。原作の父親の印象はもっと病的なものでしたが、アニメではあくまでも気持ちのすれ違いという範囲に収めておき、若干和解したような含みをもたせた終わり方になったようです。

ラストのシメとなった告白シーンですが、これは原作ですとかなり前の段階で行われます。ちょうど朋也が「渚」と呼ぶようになったあたりですね。原作では二人が恋人宣言をしてから結構続くのですが(むしろ恋人を作ったことによって世界への見方が変わると表現しているとも思えます)、アニメでは明らかに渚ルートに入っているのにちっとも恋人宣言しなかったのには、こういう終わり方をさせたかったからなのでしょうかねー。いやいや、やられました。

*

最後の最後で恋人宣言をしたのはなぜなのでしょうか。
石原監督がこれまでの作品の集大成としたい、とインタビューで答えてらっしゃいましたが、コメンタリーなどを見ていると、私が考えるよりも技術的な面での解説が多かったように思います。ですから、幻想世界をフルアニメーションで表現したり、CGと融合させる高い技術で制作することがその本意なのかもしれません。しかし私は、Key作品のシリーズ独特の深みに加えて、ハルヒの汎用性というか、広くファンを引き込む力も込めたかったのではと思わされました。

それはある意味で成功していて、とてもすっきり気持ちよく終わっていたように思います。
でも、あれ?
「あー、いい最終回だったな〜」って、この感想って随分落ち着いていませんか?
感動に打ち震え、涙が止まらないような激情が見られない。最終回を見た感想の中でも、風子編が一番よかった、という感想もあったほど。幻想世界の描写にしても、なんとなく分かったような分からないような。そもそも、みんなが言う「アフター」って何。

そう、言わば今回の最終回は「中締め」。第1回で朋也が言っていたような、「長い、長い、坂道」はまだ終わっていないのです。ネタバレですが、ゲームではいろいろなキャラクターのグッドエンドを見ていくと、オープニング画面に光の玉が集まっていきます。要は全キャラのルートをクリアすると新しいシナリオが追加されるということで、それが「AFTER STORY」と呼ばれるものです。これは渚エンドを迎えた直後から始まるという設定で、そういう設定がありますから智代エンドを迎えた場合のIFとして「智代アフター」という作品がスピンオフとして(公式に認められていないという話も聞きますが)登場したわけですね。

むしろ、CLANNADの本領発揮はこのアフターから。幻想世界がなんであるか、作者が何を語ろうとしていたのか、それらが明らかになるのは、そこまでいって初めてだと思います。

*

そんな予備知識を踏まえた上で、本編内に見られる幻想世界の描写について。

「幻想世界」と呼ばれる物語が果たして何なのか、という疑問は、原作CLANNADをすべて終えても完全に解消されないものであると思います。ただし、アフター編をクリアすることで、私は一つの回答が得られたと感じました。ここではそこまでお話が進んでいませんので、学園編に限定して考えていきたいと思います。
学園編の中で言えば、有紀寧シナリオで光の玉の伝説について言及があったように思います。この光の玉は、タイトルバックにあるものと同じで、幻想世界で見られる不思議な光と同質のもの。その意味は、おぼろげながら類推できると思いますが、一般に「幸せの象徴」であると言われています。
幻想世界が、渚がどこかで聞いたただのお話ならば、この光の玉の共通点が不可解ですよね。
渚の芝居のセリフは、幻想世界での「僕」のモノローグと共通しています。でも、一つ大きく違う点が。
そう、「お連れしましょうか?この街の、願いがかなう場所へ」ですね。渚が聞いた話が「僕」や「少女」の視点であったならば、このセリフを言うことはないはずです。そう、このセリフは恐らく「僕」や「少女」以外が言ったもの。渚はどうしてそれを聞くことができたのでしょうか。
また、秋生が「渚が見たり聞いたりした話が演劇なら、俺がすべてを把握している」と言っています。これはもちろん、秋生が演劇を目指していたことの伏線で、だからこそ演劇に関しては自信を持っていえるということなのですが、ならば両親から教えてもらっていないのにもかかわらず、「幼い頃に」とはっきり渚が覚えているのはなぜか。
不思議な点はほかにもあります。序盤で幻想物語のことを「楽しい話」と表現しているにもかかわらず、後半では「悲しい話」と表現しています。また、仁科に指摘されて初めて、渚は幻想世界の少女がとても悲しい状況に陥っていることに気がつきます。渚にとっては、一人でいることが悲しい、しかし人形という友達ができたことが楽しい。かつ、世界でたった一人しか存在していないということは、想像以上に悲しいことだと初めて気づいたわけです。

これは恐らく、渚が何らかの体験をしたからなのではないでしょうか。つまり、実際にその幻想物語の登場人物になったことがある。もしくは、夢うつつのような形でその光景を見たことがある。ただ、その世界にいる人にとっては、それが当たり前であるから、他人に指摘されると新たな発見となるわけです。

これは、ことみ編ででてきた「剥がれ落ちた時空」も象徴しているのではないでしょうか。CLANNADという長い長い物語から、ここだけは削れないと監督が判断した部分をチョイスしたとなれば、物語の根幹を理解する上で剥がれ落ちた時空を語るシーンは欠かせないと考えたのだと思われます。
そういった「かくされた世界」が存在することを類推できる要素として、ED曲「だんご大家族」の歌詞があるのではとも思います。これはもちろん、渚が幼い頃に見たテレビ番組の歌を想定して作られていますが、歌詞の内容は原作者が携わっているということもあって、なんともCLANNADを包括したものになっています。その中で違和感のある部分が一つ。

なかよしだんご 手をつなぎ大きな丸い輪になるよ
街を作りだんご星の上みんなで笑い合うよ
うさぎも空で手を振ってみてる でっかいお月様
うれしいこと 悲しいことも全部丸めて


ここでだんごが街に住む人々を象徴しているのは想像に難くないでしょう。街に住む人々がすべて言わば家族。ですが、月のうさぎはだんごとは明らかに異質なものです。だんごが丸い=月を連想したとしても、どうしてここで「うさぎが見ている」のでしょうか。
思うに、月=虚構の世界≒幻想世界ということなのではないかな、と思います。つまり、自分たちが住んでいる現実の世界がここにあって、想像の及ばない別世界がそこに存在し、そこに暮らす存在もまたある。厳密にそれと家族になることはできないが、それでも見守っている存在であると。手を振ることで何らかの絆が生まれるきっかけになる、というのは第1回で渚が行ったことと同じですよね。つまり、最初は別世界で手が届かなくても、きっかけさえあれば心を通わせることができるのではないか、と。これはあたかも、こちらの世界から人形の中に込められた思いの正体となるものが幻想世界へ旅立っていったことと共通するようにも思えます。それがあることで、結局少女は「一人でない」という状態になって救われたわけです。

渚が危機に陥ってからは、古河夫妻は渚から目を離すことはなかったのだと思います。ならば、渚がどこかで聞いた話というものを把握していないのはとてもおかしい。つまり、渚がそれを聞いたチャンスは、夫妻が目を離した瞬間、雪の中で倒れて生死をさまよった時なのではないかと類推できるかもしれません。

渚は恐らく、幻想世界の光景を目にしている。そして、「あなたをお連れしましょうか・・・」という声を聞いている。果たして、この街に本当にそんな場所があるのでしょうか。それは、ここではまだ語られていません。

我々は、三次元の世界で暮らしています。縦と横、そして高さを自由に動くことができます。それに時空を加えたものが四次元。ここに暮らす人にとっては、時空も移動媒体の一つなのかもしれません。そんな不思議な空間があったとするならば、幻想世界の中で人形が言っていた、「遠い過去、あるいは遠い未来に」というセリフも理解できるかもしれません。これは思わせぶりに作られたセリフなのではなく、人形は本当にそう思っているということです。これを聞くと、朋也がその話を聞いた時に感じた奇妙な既視感と不思議な符合を示しているとはいえないでしょうか。

*

後は、物語の作り方という点における、「監督の集大成」の話。AIR、KanonときてCLANNADで3部作がいったんの完結を迎えたと言えますが、「原作通り」を体現しながら、前2作とは先にも述べたように若干雰囲気が異なっていたように思います。学園を中心とした、コメディ色が強い物語と、ボーイミーツガールの要素ですよね。これは、昨年旋風を巻き起こしたハルヒに共通するものなのではないかと思います。杏の序盤の言動がハルヒを彷彿とさせるものであったこともありますが、ハルヒでいうと、「ライブアライブ」の学園祭の臨場感と高揚感、また最終話である「憂鬱VI」のクライマックスを取り込んで、盛り上げを最大にもっていったのではないかと感じられました。ハルヒでの成功を、こういった形で昇華させたのではないかと。
また、Kanonの大きなアレンジとして、原作ではほとんど出番のなかった北川が名バイプレーヤーになっていたことが挙げられます。これはCLANNADでいう春原の立ち位置ですよね。普段はおどけているけれども、いざとなればきっちり役割をこなす。最終回での春原は、もうおどけた素振りで隠さずに、本番に臨む真剣な顔を見せていました。渚の異変にいち早く気づき、朋也の内心を察した上で大きくそれを案じています。ここで朋也が春原に普段どおりでいてくれ、と頼むシーンは、Kanon18話の祐一と北川を思い出しますよね。Kanonで北川のファンが一気に増えたことを受けて、春原のキャラクターも本域を充分に発揮できたのではないかと思います。

*

最後に、CLANNADに関してはまだ途中、といった印象が強いです。振り返ってみれば半年という結構な長さなのですが、あっという間に過ぎた感じ。特に後半にかけては、役者さんの演技に圧倒される場面も多かったのではないかと思います。15話の春原の激高、18話ラストの藤林姉妹のシーン、そして最終回の古河家の面々の熱演。秋生は原作通りの抑揚ではあったものの、遥かに力を込めた熱演で、演劇で生かした発声を使って講堂中に響き渡るような声量で、のどをつぶさんばかりに声を振りしぼって叫んだ様は圧巻。早苗さんが「がんばれ〜」と声をかけるシーンも、本当はやや的外れな掛け声をおかしく思うユーモアのシーンなのですが、声の震え方から、早苗さんがとっさに自分に振られて一生懸命娘を励ます言葉をかけていることが伝わります。また、渚がそれらの声援を受けて、一つ大きく深呼吸して冷静さを取り戻すシーンは、息の吸い方が少し震えているなど、なんともしびれる演技力。深夜アニメは数多くあれど、こうやって携わる人々が本気でものを作っていく様というのが見られるのは稀有なことなのではないでしょうか。

ともあれ、この半年間は原作を知った上で京アニ作品を見るという楽しい経験をさせていただきました。やっぱりあくまでも「原作通り」ですから、初見の衝撃というものが目減りしてしまったにしても、また違った楽しみを得られたと思います。満足度の高い、良い作品でした。ありがとうございました。

…えっ!? 来週は番外編? まだ終わらないの?
って、なんか春原といい雰囲気になってるんですか!?
しかもアッキーがそれを妬いてるんですかッ!?

なんだなんだ、なんなんだこの予告は一体ーっ!

ハアハアハア、まだ休ませてはもらえねえのかい、京アニさんよォ・・・
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